呉市本通のアーケード街に、「メロンパン」という屋号だけを掲げたパン屋がある。よくある「メロンパンも売っているパン屋」ではなく、店名そのものが「メロンパン」だ。昭和11年創業、80年以上呉の朝を支えてきた老舗の正体と、名物パンがなぜあれほど重いのかを、公開情報から整理する。
「メロンパン」は店の名前そのもの
このパン屋の創業は1936年(昭和11年)。初代・中塩春馬氏が、戦前のまだ食が豊かでなかった時代に「みんなにお腹いっぱい食べてほしい」という思いから、パンの製造・販売を始めたのがルーツとされる。住所は広島県呉市本通7丁目14-1、営業時間は月曜〜土曜7:00〜16:00、日曜定休。看板商品の名前がそのまま店名になっているため、「メロンパン本店」で検索すると迷わず辿り着ける分かりやすさも特徴だ。
名物はラグビーボール型、持つとずっしり重い
看板商品のメロンパンは、一般的な丸いメロンパンとは異なり、ラグビーボールのような細長い形をしている。サクッとしたビスケット生地の中に、柔らかい菓子パン生地、そしてその内側にたっぷりの自家製クリームが詰まっているのが特徴だ。クリームは白餡のような固めのカスタードで、初めて手に取った人はその重量感に驚くという。見た目からは想像しにくいボリュームこそが、長年愛されてきた理由のひとつになっている。
三代目が守り続ける昭和の製法
自家製の餡やクリームは、今も初代の製法を守り続けているとされ、現在は三代目が初代のレシピを受け継いでいる。メロンパンのほかにも、人気ランキング1位の「ナナパン」や「平和パン」など、約40種類の菓子パンを日々製造・販売している。ラインナップの多さも、単なる名物パン屋ではなく、地元の暮らしに根づいた「まちのパン屋」であることを物語っている。
午前中で売り切れることも
人気商品は午前中で売り切れることも珍しくないという。県外から時間をかけて訪れる場合は、事前に電話で取り置きを依頼しておくと確実に手に入れられる。呉の朝の街歩きに組み込むなら、午前の早い時間帯に立ち寄るのがおすすめだ。
戦前から続く呉のパン文化のひとつ
呉は戦前、国内最大規模の海軍工廠を抱える軍港都市として栄え、全国から多くの労働者が集まっていた。当サイトの細うどん記事でも触れた通り、短時間で食事を済ませる必要があった街の事情が、麺文化だけでなくパン文化にも影響を与えた可能性は十分に考えられる。1936年創業の「メロンパン」も、そうした時代の呉で生まれ、戦後・平成・令和と続く長い歴史を持つ一軒だ。同じ本通エリアには、呉のソウルフード「がんす」を扱う店やお土産物屋も並んでおり、あわせて歩くと呉の食文化の厚みがより実感できる。
まとめ
「メロンパン」は、店名がそのまま名物パンの名前になっている、呉ならではの老舗パン屋だ。屋号・商品名・歴史のすべてが一体になっているという点で、呉のグルメの中でも独特な存在感を放っている。昭和11年から変わらぬ製法で作られるラグビーボール型のメロンパンは、見た目以上の重量感とボリュームで訪れる人を驚かせてくれる。呉の名物といえば「がんす」のような練り物が語られがちだが、パン文化にも同じくらい濃い歴史が息づいている。
(本記事はメロンパン本店公式サイト・IRAW by RCC等の公開情報をもとに構成しています。営業時間・取り扱い商品は変更される場合があるため、訪問前に最新情報をご確認ください。出典: https://kuremelon.com/ / https://iraw.rcc.jp/topics/articles/27917)
コメント