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呉の細うどんが細い理由 — 1933年創業「山乃家」から続く麺の話

呉でうどん屋に入ると、見慣れた讃岐うどんとは明らかに違う、糸のように細い麺に驚くことがある。これが呉名物「細うどん」だ。太さは3〜4mmほどしかなく、箸にしなだれるほど柔らかい。なぜ呉のうどんはここまで細くなったのか、老舗「山乃家」の情報をもとに整理する。

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山乃家は呉最古のうどん店

呉市中通にある「山乃家 本店」は、1933年(昭和8年)創業、呉市内に現存するうどん店の中で最も古いとされる一軒だ。戦前は西二河通りにあったが、たび重なる移転・戦災・戦後の再開発を経て、現在の場所に落ち着いた。もともとは現店主・柴村清さんの奥様の実家で、柴村さんが脱サラして店に入ったという経緯を持つ。営業時間は11:00〜17:00、定休日は火曜日。住所は広島県呉市中通3丁目7-10。

細さの理由は「海軍工廠の労働者」

細うどんが生まれた背景には、呉という街の成り立ちが関わっている。戦前の呉には国内最大規模の海軍工廠があり、そこで働く大勢の労働者に食事を手早く提供する必要があった。ゆで時間を短くするため、麺がどんどん細く改良されていったというのが、山乃家に伝わる由来だ。山乃家の店主も「昔は『細』はついてなかったんですよ」と語っており、明治時代ごろまでは一般的な太さのうどんだったことがうかがえる。

麺の細さは3〜4mm程度で、箸に取るとしなだれるほど柔らかい。出汁とうどんの間に境界線がないと表現されるほど、つゆと麺が一体化した食感が特徴だ。

もう一つの担い手「坂本製麺所」

呉の細うどんを語るうえで欠かせないのが、創業100年超の歴史を持つ製麺所「坂本製麺所」だ。かつては近隣の製鉄会社の社員食堂に、うどん・そばを1日約500食供給していたという実績を持つ。その後、製麺所の敷地内にうどん店を併設し、甘めの出汁が効いた細うどんを提供している。工場直営ならではの、麺そのものの品質へのこだわりが強みだ。住所は広島県呉市三条1丁目10-7、営業時間は11:30〜14:30。なお2025年8月25日から営業日が金・土・日のみに変更されたという情報があるため、訪問前に最新の営業日を確認しておきたい。

呉が「うどんの街」になった背景

細うどんが生まれた戦前の呉には、戦艦大和を建造したことで知られる海軍工廠があり、東洋有数の規模を誇る軍港都市として栄えた。工廠には全国から多くの労働者が集まり、短い休憩時間で食事を済ませる必要があったことが、麺の細さだけでなく「早く出せる大衆食」としてのうどん文化そのものを育てたと考えられる。戦後、工廠は解体されたが、そこで働いていた人々の胃袋を支えた細うどんの味だけは、山乃家や坂本製麺所といった店を通じて今も呉に残り続けている。

山乃家は屋号にもある通り、細うどんのほかに中華そば・田舎そばもメニューに並べており、うどん専門店というより「呉の大衆食堂」という位置づけに近い。細さだけでなく、出汁の取り方や麺の茹で加減など、店ごとの個性が出やすいメニューでもある。

まとめ

呉の細うどんは、海軍工廠の街という土地の歴史がそのまま麺の太さに刻まれた、珍しいご当地グルメだ。1933年創業の「山乃家」と、製麺所発の「坂本製麺所」、それぞれ由来もアプローチも違う2軒を食べ比べてみると、呉の食文化への理解がぐっと深まるはずだ。細さの理由を知ってから一杯すすると、いつもの「細いうどんだな」という感想が、街の歴史とつながった感想に変わるかもしれない。

(本記事は各店舗の公式サイト・取材記事等の公開情報をもとに構成しています。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前に各店の最新情報をご確認ください。)

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